給料の天引きってどこまで許されるの?
A.労働基準法第24条は、賃金はその全額を支払わなければならないと定めており、原則的には、給料の天引きは認められず、賃金の全額を労働者に支払わなければなりません (全額払いの原則)。
ただし、法令で定められた税金、社会保険料といったものについては天引きすることが認められています。また、書面による労使協定がある場合には、 社宅料や親睦会費などを天引きすることは可能です。これらは労働者の福利厚生に役立つ趣旨ならば、ということで特別に認められているのです。逆に言うと、 労働者の福利厚生に役立たない天引きはたとえ労使協定を結んだとしても認められません。
例えば、業務上必要な費用を労働者の合意なしに負担させることや、労働者が会社に与えた損害を給料から天引きすることは認められていません。 数年前派遣会社のグッドウィルが国の労働災害制度を脱法するために、労働者から保険料を天引きして民間保険に加入していた問題で、全額返還命令が出た事件は記憶に新しいところです (http://www.asahi.com/special/08016/SEB200812040019.html)。
もしも労使協定がなく給料が天引きされている場合や天引きそのものに不当性がある場合、会社側に是正を求めることができ、未払い分の賃金についても返還を求めることができます。