準社員とは?
A.労働法上に「準社員」という概念はありません。この「準社員」といった定義は会社によって異なります。
これは正規雇用と非正規雇用の間の中間的な扱いという意味で使われています。準社員のほかに、最近では「限定社員」という呼ばれ方も増えてきました。
ただ、繰り返しますが、「準社員」は法律上において明確な定義などは存在しません。
こういった場合は「準社員」という呼び名より、契約内容の実態でどのような雇用なのかを、ケースバイケースで見分けなければなりません。
1.契約期間に定めがあるのか
2.給与体系は正社員とどのように区別されるのか(昇給はあるか、ボーナスはあるか)
3.業務に対する責任は正社員と区別されるのか(地域限定社員、パートタイム・フルタイムのいずれか、またフルタイムの場合は残業の程度)
その他:福利厚生など
主に上記の3点において、正社員と区別されていることが多いのですが、先ほども指摘したように、「準社員」の内実は会社ごとに異なりますから、 自分が入社しようと思う企業の提示している条件をよく確認することが大切です。
まず、期間に定めがある雇用の場合は有期雇用になります。期間に定めがない場合は無期雇用となります。
有期雇用についてはQ&A契約社員とは?をご覧ください。
有期雇用であっても最低賃金法、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、男女雇用機会均等法などの労働者保護の法令は適用されます。
これらの法令が適用されるので有給休暇を取得することができ、会社は残業代を払わなくてはなりません。
また、育児・介護休業法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法等は要件を満たしていれば適用されます。
例えば健康保険や厚生年金は所定労働時間及び所定労働日数が正社員の4分の3以上である場合は加入できます。
また、雇用保険に関しても週20時間以上の所定労働時間、31日以上雇用が見込まれる場合は加入しなければなりません。しかし、あくまでも有期雇用ですから、
期間の満了と共に解雇されてしまう可能性があります。
次に、給与体系に区別については、通常の正社員が定期昇給(年功制賃金)を何らかの形で有しているのに対し、準社員はその昇給の幅が狭かったり昇給そのものがない場合があります。 また、ボーナスが支給されない、あるいは金額が低く扱われるということもありえます。
そして業務に対する責任については、準社員は一般的に正社員よりも責任の程度が低いことが念頭におかれます。しかし、一体どの点において、どの程度責任が異なるのか、 よくよく確認する必要があるでしょう。
・「準社員」を選択する上でのポイント
準社員を選択する上でのポイントは、第一に「準社員」の内容が企業ごとに違うのでその具体的な扱いについて、よくよく把握した上で選択するということです。 その具体的なチェックポイントは上に示したとおりです。
第二にメリットとデメリットをよくよく勘案することです。期間の定め、賃金、責任のうち、期間の定めと賃金は正社員に対して不利に扱われる部分です。
一方責任については、「準社員」は正社員に比べて軽減されて扱われるのが普通です。責任が少ない代わりに、処遇も低くなるというわけです。責任が限定されるという意味で、
「限定社員」という呼び方をする場合も最近見られるようになりました。
こうした処遇面でのデメリットと軽減される責任の内容を勘案して選択することが間違いのない方法だと思われます。