就業規則とは?
A.就業規則とは、働く上でのルールや労働条件を使用者(会社側)が定めたものです。例えば、「労働時間は9時〜18時」、「賃金は月20万円」、 「以下に当てはまる場合、解雇する」という形で就業規則は定められています。就業規則は、常時10人以上の労働者を雇用している会社は必ず作成し、 労働基準監督署長に届け出なければいけません(労働基準法第89条)。
そして、就業規則には1.始業および終業の時刻、2.休憩時間、休日、休暇、交替勤務制の場合の就業時転換(交替制)に関する事項、3.賃金に関する事項、 退職に関する事項を必ず定めておかなければなりません。これは会社の作ったルールですが、基本的には労働者を守るためのルールです。 会社は作成した就業規則に反しない内容で労働者を働かせなければならなくなるからです。
労働者は働くに際して使用者と労働契約を結びますが(書面の交付が義務付けられていますが、口頭でも成立します)、就業規則の内容はこの労働契約の内容を補完するものとなります。 就業規則を下回る労働契約は、就業規則と同じ内容に書き換えられているものと考えられるのです。ですから、労働条件に不満がある場合や新しく入った(ないし入る)会社に不安がある場合、 まずは就業規則の内容を確認してみることが大切です。
・トラブルになるケース
まず、就業規則の内容を定めるのは会社なので、その内容が個人の労働契約内容よりも下回っていたり、
新たに作成した就業規則がそれまでよりも低い内容になってしまった場合にトラブルになりがちです。
しかし、就業規則の適用は無制限に認められるのではなく、法律で規制がかけられています。まず、労働基準法などの法令を下回る就業規則の適用は一切できません。
また就業規則の一方的な変更も、一定の要件を満たさないと認められません。
基本的には「合理的な理由」がない場合には、そうした労働条件の切り下げは認められません。この基準は常識に照らしたものなので、 ケースバイケースですが問題が生じたときは専門家に相談してみるのがよいでしょう。
また、就業規則を渡さないという会社もありますが、使用者には、就業規則を周知する義務があるため、交付しないということはできません。 渡さないという会社には、それ自体違法であり悪意があります。そうした対応を受けたときには、基本的に会社が違法行為を行なっている、 ないし行なうことを予定しているものと思ってよいでしょう。