試用期間とは?
A.試用期間とは、長期雇用を前提として採用される正社員の場合、あらかじめ人材の適正を確かめるまで本採用を控えるという制度です。 しかし、こうした試用期間中であっても労働契約は成立しており、基本的に期間の満了とともに本採用に移行するものとされています。
試用期間の法律的な関係については、「試用」ということで、まだ最終的な労働契約関係が成立しているとは言えないというのが一般的な理解です。 そのため使用者には「解約権」が留保されており、解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当として是認される場合にのみ、 解約権の行使は許されます。要するに、「試用期間」の趣旨に照らして特別な理由がない場合には試用期間であってもクビにはできないということです。 「試用」にたるだけの訓練をして、普通ならできるところが特別にできなかったというような事情が必要だということです。 逆に言うと、この「試用期間」だからこそ起こるであろう特別の事情がなければ解雇はできません。
結果としてほとんどのケースでは試用期間の「解約権」を理由にした解雇は無効になると考えられます。特別な訓練をして、普通ならできることがどうしてもできるようにならない、 そうした場合に限られるということです。
試用期間の長さについては法律に上限の規制はありませんが、合理的な理由なく長期の試用期間を設定することは社会的に許容されませんので、 解雇権乱用法理の脱法行為として無効というべきで、1年を超える試用期間などはそもそも効力をもちません。
なお、試用期間中であっても、通常の労働時間働く場合は、使用者は労働者を雇用保険、社会保険などに加入させなくてはなりません。 また、明確な期間の定め(3ヶ月間、7月まで、など)を欠いたあいまいな「試用期間」は期間ではないので法律上の効果は発生しません。
・考え方のポイント
第一に、試用期間で打ち切られたとしても、「試用期間だから仕方ない」とすぐに思い込まないように注意しましょう。法律上試用期間の解約については厳しい制限がかされていますので、 かなりの割合の「試用期間切り」が違法行為に当たると思われます。会社自身も「試用期間」の法律本来の意味を理解していないことも多いのです。試用期間の解約については、 まずは疑うところからスタートするのが鉄則です。
第二に、もしも1年間などのように異様に長い試用期間設定されていたり、そもそもいつまでが試用期間かわからないというような契約内容が提示されるようであれば、 その会社はコンプライアンスへの意識が乏しいということになります。なるべく避けたほうがよいでしょう。
第三に、どうしてもあいまいな試用期間を用いる会社に就職する場合は、マインドして「脅し文句」としての、「試用期間だからいつでもクビを切れる」や 「お前はいつまでも試用期間だ」というような言葉は、そもそも法的には無意味な、無効なものだということを心に留めておくことが大切でしょう。 いざというときに、行動を起こしやすくなります。