総合職と一般職の違いとは?
A.総合職や、準総合職、一般職は法律に定められた制度ではなく、各企業が任意に定めている雇用管理のあり方の違いです。その違いは一般的に次のように言われています。
・総合職
企業の基幹となる業務に携わり、企画立案、対外折衝など総合的判断を要する業務に従事する。将来の幹部候補になるため色々な部門を経験することが多い。転居を伴う異動がある。 4大出身者が多く、昇給、昇進が他の職種に比べ早い。
・準総合職
主に定型業務に従事し、総合職の補助的な仕事をすることが多い。
エリア内での異動はあるが、基本的に転居を伴う異動はない。
エリア社員、地域限定総合職、特定総合職、中間職などとも言われている。
4大出身者が多く占める、昇給、昇進は総合職の8割程度の企業が多い。
・一般職
主に定型業務に従事し、総合職の補助的な仕事をすることが多い。
転居を伴う異動はない。事務職と呼ぶ企業も多い。
昇給、昇進もあるが限られる傾向がある。
○そもそもなぜこのような違いがあるか
このような違いは雇用管理の方法として、いわゆる「コース別雇用管理」を導入している事業場にみられます。ここで、「コース別雇用管理」とは、企画的業務や定型的業務等の業務内容や、 転居を伴う転勤の有無等によって幾つかのコースを設定して、コースごとに異なる配置・昇進、教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます。このコース別雇用管理は、昭和61年の「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下「均等法」といいます。 なお、当時の法律名は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」)の施行前後に、それまでの男女別の雇用管理制度を改め、 総合職、一般職のコースを設定し、コースごとの処遇を行う等のシステムとして、金融機関等の大企業を中心に導入されてきたものでした。
しかし、本来は労働者を意欲、能力、適性や成果等によって評価し、処遇するシステムの一形態として導入されてきたものであり、 性別による雇用管理システムではないはずのコース別雇用管理について、その運用において男女異なる取扱いがなされたり、固定的役割分担意識等の結果として、 例えば、総合職のほとんどを男性が占め、一般職を女性のみとするなど、事実上の男女別の雇用管理として機能させている事例も多く見られます。
また、総合職と一般職の業務内容の違いが必ずしもはっきりしておらず、コース区分の合理性が明確でない事例、 一般職の勤続年数が長期化する中でコース区分の合理性やコース間の処遇の格差についての納得を得られにくくなっている事例など、 コースごとの職務内容とそれに対する評価や処遇の在り方等が必ずしも実態にそぐわなくなっている面もみられます。現にそうしたことに着目して必要な見直しを行っている企業もあります。○コース等で区分した雇用管理が適正に行なわれているかどうかについて留意すべき点
・その意味
コース等で区分した雇用管理は、本来、個々人の事情や希望に応じた複数の働き方の選択肢を設けることにより、意欲、能力に応じた人材活用を図るためのものですが、 実際の運用をみると、職場における固定的な性別役割分担意識等もあって、実質的に性別による雇用管理になってしまっている場合も多くみられます。 労働者が意欲を失うことなくその能力を十分発揮するようにするために、男女ともに働き方に応じた適正な評価、処遇を受けられるような環境が整備されていることが重要だといわれています。
・留意すべき事項
このため、以下のような点が留意すべき点となります。
(1)コース等の区分間の職務内容や職務遂行上求められる能力を明確にするとともに、コース等に分ける区分の基準やコース等の各区分間の処遇の差異について、
それが職務内容等に見合った合理的なものであること
(2)コース等の区分における職務内容や賃金、資格制度上の位置づけ等が十分に説明され、労働者の納得を得、適切なコース等を選択しうるよう配慮され、
また労働者が長期的な職業設計を立てることができるように制度運営がなされていること
○また、以下のようなことは男女雇用機会均等法に違反することとなります
・総合職は男性のみ、一般職は女性のみといった制度を作るなど、 一方の性の労働者のみを一定のコース等に分けるといった制度運営が行なわれていること。
・総合職をはじめとするいずれのコース等についても男女とも配置とすることがあり得る制度とするなど、形式的には男女双方に開かれた制度になっているが、
例えば、総合職は男性のみとする慣行があるなど、実際の運用において男女異なる取扱いが行なわれていること。
・コース等の各区分における配置、昇進、教育訓練等の雇用管理について、男女別で運用基準に差が設けられていること
(例えば、「総合職」であっても女性については営業業務から排除すること等)。