退職金って権利なの?
A.退職金は、支給されるかどうかや支給の基準がほぼ使用者の裁量に委ねられた恩恵的給付の場合は賃金とはされませんが、労働協約、就業規則(退職金規定を別途定めている場合も、就業規則と一体とみなされる)、労働契約などで支給金額を定めて支給するよう決められている場合、労働契約の内容となり、使用者に支払い義務が発生するため、労働基準法上の賃金として保護を受けます。
つまり、入社するときに結ぶ契約や、入社後に社内ルールである就業規則を確認して、そこに明示されていれば退職金は「権利」であるということです。
このように、退職金請求権を直接根拠づける法令はなく、退職金制度を設けるか否かは使用者の判断に委ねられています。
退職金の没収・減額は、退職金規定などに明記して初めて労働契約の内容となり、その上でこれを行うことが原則であるので、規定の中に没収・減額の条項がない場合には、原則として退職金の全額を請求できます。
また国の制度として、単独では退職金制度を持つことが困難な中小企業に国が援助し、大企業と同じような退職金を支払うことができるようにするための「中小企業退職金共済制度」があります。中小企業の事業主がこの制度に加入すると、1年以上勤めた労働者には退職金が支給されます。この場合退職金は直接労働者に支払われ、もし事業所が労働契約で加入を約束しておきながら実際には加入しなかったときには損害賠償請求が可能になります。
気になる場合は、「中小企業退職金共済制度」を扱っている事業本部に、入りたい企業の加入の有無を確認してみるとよいでしょう。
労基法では、退職金を法的に請求する権利がなくなる「時効」の期間を、支給されるはずの日から5年間と定めています。