社会保険は絶対入れるの?
A.社会保険には労働災害補償保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険といったものがあります。以下で一つずつ説明していきます。
○労働者災害補償保険
労働者(アルバイト、パート等名称の如何を問わない)を使用する全ての事業に強制的に適用されるもので(ただし、個人経営の農林水産業の一部、国の直営事業等は除く)、 保険料については事業主が全額負担しなければなりません。
もし仮に「入っていない」と会社が説明したとしても、強制加入ですので「入っている」ものとして扱われます。労働災害に遭った場合には、 会社を通さずに労働者自身が保険の適用を国に申請することができます。事業主が入っていなかった場合も、もともと入っていたものとして国から扱われることになります。
このように「労災保険に入っていない」ということは制度上絶対にありえません。もしそのような説明をする会社があるとすれば、 それは違法行為を意図的に行なう極めて悪質な業者であるといえます。
○雇用保険
適用事業所(※)に雇用されている労働者は原則として全て被保険者になり、例外として家事使用人、4か月以内の期間を定めて雇用される季節労働者等は除かれます。 パートタイム労働者は、週20時間以上の所定労働時間で、6か月以上の雇用が見込まれる場合に、被保険者となります。
一言で言えば、短時間労働者以外はすべて加入が義務付けられているということです。雇用保険に関しても、 「加入させない」という会社は基本的に違法行為を容認するブラック企業である可能性が高いといえます。
(※)雇用保険は全ての事業を適用対象としているので、1人でも労働者を雇用した場合、事業主は雇用保険に加入しなければなりません。 ただし、農林・畜産・水産・養蚕業のうち労働者5人未満の個人経営の事業は強制適用から除かれますが、雇用する労働者の1/2以上の人が加入を希望するときは、任意加入の申請を行い、 認可された場合は加入を希望しない労働者も含めて加入することになります。
○健康保険、厚生年金保険
全ての法人の事業所及び従業員が5人以上の個人事業所(サービス業を除く(※))は、必ずこの保険に加入しなければなりません。パートタイム労働者の場合も、 労働日数や労働時間が一般の被保険者のおおむね3/4以上の場合には適用されます。自由業や農業、会社を辞めた時など、健康保険の適用を受けられない場合、 市町村が運営する国民健康保険に加入することになっています。20歳以上60歳未満で厚生年金保険に加入できない人は、国民年金に加入することになっています。
最近ではこれも「加入させない」という会社が増えているようですが、基本的に違法行為です。そのような会社は選択しないようにすることが望ましいでしょう。
(※)サービス業等の個人事業所でも、事業主が従業員の1/2以上の同意を得て、申請し、認可を受ければ加入できます。
・まとめ
以上のように、社会保険は基本的に加入が義務付けられています。これらに加入させようとしない会社は遵法意識を欠いているといえます。 そうした企業は保険に限らず、残業代など他の法令を無視し、さらにはパワハラなどの人権侵害をも平然と行なう企業であることは一般的です。 社会保険の支払いは労働者の生活を国が支えているものであり、会社にとっても自分の社員を低コストに保護するメリットのある制度です。 こうした国の整備する基本的な福祉の提供すら妨げようとする企業に対しては、特に注意が必要だといえるでしょう。