2013/11/3
アベノミクスは雇用を救うのか?(『POSSE』vol.19)

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POSSE vol.20event


悪化の一途をたどる日本の雇用。「景気がよくなって雇用が回復し、私たちの暮らしは楽になるのでは?」アベノミクスが評価されるのは、人々のこうした期待のあらわれでもあるだろう。


しかし、それは本当に現実のものとなり得るのか。『POSSE』19号でアベノミクスに対して批判的な検討を加えている小西一雄氏の論文を手掛かりとして考えていきたい。


小西氏いわく、今回の金融緩和によって仮に実質金利がマイナスくらいに引き下げられたとしても、需要が生み出されて企業が投資を再開するわけでない。すでに市場は成熟してしまっているからである。


いくら金融機関にお金をジャブジャブと流し込んだところで、そのお金を借りて新たに設備投資をしようとする企業は少数に留まるだろう。実際、日本やアメリカでは近年すでに何度か金融緩和を試みているものの、マネーサプライはほとんど横ばいであるという。


それでは、市場が限度に達したなかで企業はどのようにして儲けているのだろうか? それは、海外に投資を行うことや、国内の賃金や雇用を抑えることによってである。今回の安倍政権でも、裁量労働制の拡大や解雇特区、ホワイトカラーエグゼプションの検討など、労働市場における規制緩和が重要課題の一つとして取り上げられていた。


小西氏は、非営利型で医療や介護などの部門を育てることや、労働基準法を守らせるなど共通ルールを整備して、競争に規制をかけることが重要であると述べている。



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POSSEとは

『POSSE』は日本で唯一の若者による労働問題総合誌として、2008年9月に創刊しました。NPO法人POSSEのスタッフが中心となり制作し、これまで19巻を出版、4年目を迎えました。労働・貧困問題をテーマに、現状、政策から文化までを論じています。

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