POSSEでは、仕事や学校について困っている外国人の方からの相談を無料で受け付けています。留学生や技能実習生の方からも受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
supportcenter@npoposse.jp新型コロナウイルスによって、日本で働く外国人労働者の労働や生活状況は悪化しています。2020年2月のコロナウイルス感染拡大以降、POSSEには外国人労働者から通算で500件以上の相談が寄せられました。特に解雇や雇い止めなど、離職についての相談が多数寄せられており、客足が遠のいた瞬間に外国人を切り捨てる行為が蔓延し、いかに外国人が「雇用の調整弁」として利用されているかがわかります。
実はコロナ禍以前から、外国人労働者の働く職場では、賃金未払いや不当解雇、雇用差別が蔓延しており、また外国人技能実習生などはたびたび「奴隷労働」などと世界的な批判をあびるほど人権侵害が蔓延っていました。例えば、POSSEに寄せられた相談事例として、フィリピン人労働者が勤めていた企業に自身のパスポートや卒業証明書を奪われるという深刻な人権侵害が起こっていたケースがあります。いま、この件は裁判で争っていますが、この事例のように外国人労働者の身分証明書を会社が「奪う」ことで転職を防止し、実質的に「強制労働」を強いるというケースは珍しくありません。外国人労働者の権利を保障する法的な制度も整えられておらず、権利侵害が至るところで起こっています。
そして、コロナウイルスの感染拡大および緊急事態宣言の発令によって、多くの外国人労働者が影響を受けるようになりました。留学生や就労ビザで働く外国人労働者の多くは、宿泊や観光、免税店などの小売店といったインバウンド観光客向けの産業に従事しています。また、飲食店やコンビニやスーパーなどで働く外国人も、時短営業や休業の影響を受けました。その結果、2020年3月から12月までで、約500件の相談が日本全国から寄せられました。
外国人労働者は、企業側が労働基準法で支払いが定められている休業手当を支払わないことで、一気に生活に困窮することになりました。労働基準法では会社都合での休業の際には最低でも平均賃金の60%を支払うことが義務付けられています。また、国の雇用調整助成金という制度を活用すれば、休業中の労働者の賃金の最大100パーセントを国が負担するため、企業側の負担はほとんどありません。しかし多くの企業は、外国人労働者を休業させるのではなく解雇や雇い止めにすることにより、リスクを回避しようとしています。その結果、もともと給料がそれほど高くなかった外国人労働者は、家賃や水道光熱費などの支払いに一気に困窮するようになりました。
もちろん、派遣や非正規として働く日本人も、コロナ禍において休業や解雇の影響を受けていることは間違いありません。実際に、POSSEにはすでに4000件以上の相談が寄せられています。しかし、このような状況に置かれた際に、外国人労働者には自身が権利主張を行うことを妨げる様々なハードルが存在しているため、外国人は日本人以上に生活を改善したり、声を上げたりすることが難しくなっています。
職場の問題に直面している外国人労働者の多くにとって、言葉の壁や日本の法律や制度について知識がないことなどから、相談すること自体のハードルが日本人以上に高くなってしまっています。ですので、もしまわりに「働き方がおかしい」という外国人の方がいたら、代わりに相談してみてください。状況に応じたアドバイスを差し上げられます。