新卒インターンシップは今年から始まった制度で、就職先の見つからなかった新卒に対して職場体験を行う制度をいいます。これに参加する学生に対しては、日給7000円が支給されます。
この制度の特徴は第一に雇用契約を結ばないことにあります。雇用契約が結ばれないということは、労働法が適用されないなどの不利益が考えられます。第二に、具体的な訓練ではなく職場体験を行うというところにあります。しかし、職場体験とはいえ国への報告書の提出が企業には義務付けられており、アルバイトなどとは異なる意義のある体験ができる可能性があります。第三に、インターンシップ後に採用されるかどうかは未知数です。第四に、しかし、これらの結果会社としては「お試し」として雇うことができます。企業に対する補助金も支給されます。結果として雇い続ける義務がないので気楽に試してみることができるわけです。そのことによって、新卒の職場体験の機会が確保されます。
上記の中で、新卒にとってのメリットは国の補助金を得て行われる職場体験のため次の仕事までの間に有意義な経験をできる可能性があります。また、企業へのアピールに成功すれば正式採用につながる可能性もあります。
一方、デメリットとしては、インターンシップは雇用契約が発生しないため、労働法が適用されずトラブルに巻き込まれたときに不利な立場におかれてしまう可能性があります。また、訓練の内容は国への報告が義務付けられている一方で、管理体制は不十分であるため実効性に欠ける可能性も否定できません。さらに、採用に関しても採否に関する基準はなく、アピールの努力は報われる保障はなにもありません。
第一に、上記のメリット・デメリットをよく理解して選択することです。第二に、インターンシップ後の採用を期待するときはその基準をよくよく尋ねることが必要です。しかし、採用については試用期間などとは異なり、企業が完全に自由に決められるということに留意しておく必要があります。第三に、訓練に期待する場合は、内容をよく確認することが必要です。特にハローワークに出している応募内容を本当に実施しているのか、実施する意思があるのか、書類だけではよくわからないことも事前になるべく確認するようにしましょう。第四に、採用や訓練が期待したとおりにでなかった場合にも、落胆しないことが大切です。インターンシップ制度は制度的にはまだまだ未熟なものなので、これが必ずしも就職の役に立つとは限りません。採用されなかったり、訓練がうまくいかなかった場合でも、自分の姿勢や能力ばかりを責めないようにしたほうがよいと思います。