ケース3 〜アルバイトが取得した有給休暇〜
■はじめに
「自分はアルバイトだから有給休暇を取れない」と考えている人がいるかもしれませんが、有給は労基法で定められた働く人の権利で、雇用形態が何であるかにかかわりなく取得することができます。また、会社が有給取得の申し出を拒否することは基本的にできません。
■相談 会社と交渉して有給休暇を取得したBさんのケースを紹介します。Bさんは都内の飲食チェーン店でアルバイトとして働いていました。BさんはNPO法人POSSE(ポッセ)が主催したカフェイベントの宣伝で、正社員でなくても有給休暇を取得できることを知り、NPO法人POSSE(ポッセ)に相談にきました。
■有給休暇は「権利」
有給は労働法で保障された労働者の権利です。したがって、正社員かアルバイトかにかかわりなく有給休暇を取ることができます。
有給休暇は所定の休日以外に、労働者が自分の休みたい日に有給で(給料が全額払われるかたちで)休める仕組みで、半年以上週1日働いていれば1日、週2日で3日、週5日では10日間の休日を取得できます。
Bさんが有給取得を店長に申し出ると、店長は「そんなことできないよ」の一点張りで、応じようとしませんでした。そのため、Bさんは次に店長の上司にあたるマネージャーにも申し入れをし、いつも通り働きながらも、有給を要求し続けました。
■会社が有給を取らせないようにすることはできない
有給を取るには前もって休む旨を申し出なければなりませんが、休む理由を伝える必要はありませんし、会社が有給取得の申し出を拒むことは基本的にできません。また、有給を取った労働者に対して、ボーナスカットやパワハラなど嫌がらせをすることは法律で禁じられています。
申入れをしてから2週間後、会社から有給取得を認める旨の連絡が届き、Bさんは無事に有給休暇を取得しました。
■まとめ
会社が「君はアルバイトだから」などと理由をつけて有給取得を阻もうとする場合がありますが、ほとんどの場合、法的な裏付けはありません。
有給取得を申し出た場合、会社によっては申し出を受け入れておきながら有給扱いにせず、給料が差し引かれている場合があります。その場合は、未払い分の給与を労働基準監督署への申告を通じて取り戻すといった方法が考えられます。