雇用保険
退職勧奨を受けている方、転職を考えている方、すでに解雇されてしまった方などに、雇用保険制度を活用した場合のメリットをご説明いたします。
以下ではよくお問い合わせのあるケースを挙げていますが、どのような場合でもお気軽にご相談ください。
■雇用保険制度の活用方法
雇用保険制度は、31日以上引き続き雇用されることが見込まれること、1週間の所定労働時間が 20 時間以上であることの二点を満たす労働者はすべて加入する制度です(ただし昼間学生は除く)。
労働者を加入させる義務は会社にありますが、制度が使えない場合のトラブルも多くなっています。
■離職理由をめぐるトラブル
退職前の1年間のうち半年以上雇用保険に加入していれば、失業時に雇用保険から失業給付金を受けられます。
しかし、「自己都合」で退職してしまうと、退職前の2年間のうち1年以上の加入期間が必要となることと、退職後3ヶ月間は手当てを受給できない「給付制限」を受けることになってしまいます。会社都合で労働者の雇用を打ち切ると、会社が受けられる補助金が受けられなくなってしまうために、本来は会社都合として扱うべき場合でも会社が「自己都合」として離職票を出してしまう場合があります。
こうした場合に使えるのが「特定受給資格者」と「特定理由離職者」です。
賃金未払いや長時間労働やパワハラなどがあって、自己都合退職した失業者を会社都合として扱う制度です。詳しくは、こちらの厚生労働省の説明をお読みください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000371608.pdf
実際の運用はハローワークがおこなっていますので、どういった書類や証拠が必要なのか、失業前にハローワークに尋ねてみるとよいでしょう。
また、それなりの理由があっての離職であれば、労働組合に加盟して、会社に会社都合での離職票を発行するよう要求することもできます。
■雇用保険未加入のトラブル
加入要件を満たす労働者を、会社が違法に雇用保険に入れないケースがあります。単純な未加入だけでなく、本来は労働者とみなされるべき人を個人事業主扱いにして、未加入にさせるケースも多いです。
雇用保険の違法な未加入は、ハローワークに申告すれば、過去2年間までは遡って事業主に加入させるよう指導してもらえます。もちろん、雇用保険料のうち、労働者の負担分(※)は支払わなければなりませんが、受給できる金額と比較すれば確実にプラスになります。
雇用保険の未加入も労働組合に加盟し、会社に加入を要求することで解決できます。
※保険料の労働者負担は、一般業種では賃金総額の1000分の3、農林水産業・清酒製造の事業および建設業は賃金総額の1000分の4。(2020年現在)