不動産営業のDさんの場合

Dさん(20代、女性)は、入社当初から残業代が支払われないまま、厚生労働省の定める労災認定基準(通称「過労死ライン」)である月80時間近い長時間過密労働やパワーハラスメントが続く中で、心身に不調をきたし、退職するに至ってしまいました。

Dさんの働き方
Dさんは、朝8時頃に支店へ出社をし、営業準備やメールチェック等をしたのちに、10時半から支店外で営業活動をスタートしていました。営業活動中は、飛び込み営業やチラシ投函などを行っていました。
18時頃に支店へ帰社した後も、顧客リストに載っているお客さんへの電話営業や翌日の営業準備等をして、退社は22時頃になっていました。

「事業場外みなし労働時間制度」の問題
そのような長時間労働に対して、会社は残業代を適切に払っていませんでした。この会社では、「労働時間を算定し難い」労働者に適用される「事業場外みなし労働時間制度」を営業職の労働者に適用しているからです。
ところが、実際にはDさんは仕事の進捗管理について作業スケジュールを提出し、上司と確認していましたし、支店外での営業活動中は、携帯電話およびipadにて上司と連絡を取り合っていました。そして、帰社後には1日の業務内容を報告していました。

証拠を集めて労働審判を申し立て
以上のように、会社は営業職の労働者の労働時間を把握することができるため、「事業場外みなし労働時間制度」を合法的に適用することは困難といえ、未払い賃金を支払う必要があるといえます。
Dさんは労働時間を示す証拠を集め、現在会社に対して労働審判を申し立てています。

参考ページ:事業場外みなし労働時間制

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